ジェット機雲と風-ジェット機雲で風がわかる

雲は地球上に生物が現れる以前から空に浮かんでいるものですがなかにはごく最近になって初めて出現した雲もあります。そう、飛行機雲です。ライト兄弟が初めて飛行桟で空を飛んだのが1903年のことですから、少なくとも白く尾を引く飛行機雲が空に現れたのは20世紀になってからということになります。 

この飛行機雲でも強風の接近を予知することができます。 飛行機雲ができる仕組みはこうです。ジェット機が飛ぶようなかなりの上空で空気がある程度湿っているとします。本当なら、そこで雲ができてもおかしくないのですが、雲ができるためには余程温度が低くない限り、雲粒の核となる微粒子、エーロゾルが必要です。あまりに空気が澄みきっていて、雲粒の核となるエーロゾルがないと、雲ができようにもできないので、いくら水蒸気があっても空は真っ青のままです。

ところが、ここをジェット機が通ると、エンジンから燃料の燃えかすの煤とさらに多くの水蒸気が放出されます。そうすると雲を作る材料がそろいこ飛行機雲ができるわけです。 さて、問題はその後なのですが、もし空気がそれほど湿っていないと、飛行機雲ができてもまわりの空気と混ざりあって雲粒は再び蒸発して消えてしまいます。しかし、空気が十分湿っているときは雲粒が雲粒を呼んで、飛行機雲は横に広がってきます。 

つまり、飛行機雲がすぐに消えてしまうか、逆に広がってくるかで上空の湿り具合がわかるわけです。上空が湿るためには、南の海上の空気がそこまで入りこんでいなければなりません。ということは、その場所が低気圧の東側にあたっているということになります。低気圧は西から東に移動しますから、飛行機雲が広がってくるときはやがて低気圧がやってきて、北風か南風かは判然としませんが、いずれにせよ風が強まってくるということになります。 

ちなみに、上空に薄雲が広がっているときに、そこをジェット機が通ると、エンジンから噴射される熟のためにそこだけ雲が蒸発して消えてしまい、筋のように青空がのぞくことがあります。これは青い飛行機雲とか消滅する飛行機雲と呼ばれていますが、こういうときは元々薄雲が広がっているので、やはり低気圧が接近している時です。したがって、やがて風は強くなってくるはずです。

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