かさ雲と風-山頂にかさ雲ができた翌日は吹く

丑は今のような天気予報がありません日でしたから、天気や風を予想するためにいろいろな方法がとられていました。天気、風、雷、星、音、景色、動物や植物の様子、そういったものから、その後の天気や風の変化を予知する方法が今でもいろいろな言い伝えやことわざで残っています。

このような天気予報の方法を観天望気と言い、科学的根拠のあるもの、ないものいろいろあります。しかし、風や雷など今起こっている天気現象から先を予想する方法は比較的信頼度があって、なかでも雲は重要な要素です。 

雲を見て先の天気を予想する例の代表的なものが高い山に笠雲がかかると雨というものです。ここでは雨となっていますが、これを風と言っても間違いではありません。高い山にかかる笠雲というのは、雲の分類上はレンズ雲と呼ばれるものの一種で、富士山のような孤立した高い山では、山頂に笠をかぶったようにできる雲なので、こう呼ばれています。 

このような雲は、湿った南風が何千mもある山の上まで吹き上がるほど強いということを表しています。その原因として考えられるのは、まず低気圧が接近しているということです。低気圧の東側は湿った空気が南から次々に流れ込んでいますから、この風が山にあたると山頂まで持ち上げられて笠雲を作ります。春や秋、あるいは冬に笠雲が見えたら、まず低気圧の接近が原因だと考えていいでしょう。

こういうときは、翌日にはさらに低気圧が近づいて、天気は雨、風は北にせよ南にせよ強くなってくるはずです。もう1つ考えられるのは、大規模なサーマルウインドです。これは強い日射によって地面が熟せられて、軽くなった空気が山腹を這い上がって笠雲を作るもので、この場合は夜になると逆に山頂の空気が冷えて山腹を吹き下り、笠雲は消えてしまいます。

こういうときは勢力の強い高気圧に覆われている時ですから、翌日も特に風に変化は現れません。ですから、サーマルウインドの吹きやすい夏には笠雲ができたからと言って、翌日風が強くなるとは限りません。 また、たまに山がないのに、上空に同じような雲が現れることがあります。これは上空に強い風が吹いているために現れる、つるし雲と呼ばれる雲ですが、山のあるなしにかかわらず、こういう時も翌日は風が強くなると見ていいでしょう。

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