11月になると、日射しは一段と弱く、日の出は遅く、日没は早くなって、海で遊んでいても夕方にはすぐに寒くなって、だんだんと俺びしくなってきます。そしてとどめをさすのが木枯らし。木枯らしというのは文字通り紅葉した木の葉を吹き払い、木を枯らすほど冷たい本格的な冬の季節風を言い、とにかく寒い風ですが、風さえ吹けば寒くてもいいという人にとっては、北風が安定してくるシーズンの到来とも言えます。
木枯らしは冬になれば当たり前のように吹きますが、シーズン最初に吹く木枯らしを、木枯らし1号と言い、東京で木枯らし1号が吹くのは、大体10月の下旬から11月の上旬、平均すると11月7日、ちょうど立冬の頃になります。
木枯らしが吹くためには、気圧配置が冬型になることが必要です。冬型の気圧配置になるためには、大陸の高気圧がしっかりと腰を据えて大陸上に居座らなければなりません。つまり、大陸の空気が十分冷え込んで重くなることが必要なのです。逆に言うと、木枯らし1号が吹いたということは、 "大陸に冬の高気圧ができ上がったよ"、と・いう合図でもあるわけで、本格的な冬の到来を告げるには絶好のシグナルでもあるわけです。
もっとも、1回木枯らしが吹いたからと言って、すぐ冬がやってくるわけではありません。その後小春日和の日だってあるし、日本海に低気圧が入れば暖かい南風が入ることもあるでしょう。しかし、木枯らし1号が吹いた後は、こういった現象も間にはさみつつ、次第に冬型の気圧配置が現れ、その度に木枯らしが吹くことになります。
ただ、寒気の吹き出し方は年によって、また年の途中でも違うことがあり、大陸に少し寒気がたまっただけですぐに吹き出してしまう寒気小出し型の場合と、大陸に寒気がたまるだけたまって、一気にドバーつと吹き出す寒気蓄積型の場合があります。寒気小出し型の場合は冬型の気圧配置が長続きせず、木枯らしも長時間吹き続けることはありませんが、寒気蓄積型の場合は冬型の気圧配置が持続し、何日問も北風が吹き続けることになります。
いずれにせよ、木枯らし1号は冬の訪れを告げるもの。冬の間は海の遊びはお休みするという人は、木枯らし1号を冬眠のきっかけにしてみてはどうでしょう。風邪が流行ってくるのも木枯らしの後からですし、引き際としてはちょうどいいタイミングかもしれません。