バクダン低気圧-トラックも横転するバクダン低気圧

低気圧の発達というのは、中心気圧が下がることです。低気圧は、中心気圧が低いほど風を吸い込む力が強いので、発達した低気圧の方が風が強いのは当然ですが、もっとも風が強くなるのは発達の速い低気圧です。いくら中心気圧が低くても、変わらず一定であれば風は同じ調子で吹きますが、発達途中の低気圧の場合、低気圧の接近と中心気圧の低下とがダブルに効いて、風は加速度的に風速を増し、しかも影響する範囲も広がることになります。 

そして、異常に発達するスピードが速い低気圧の場合、広い範囲で暴風が吹き荒れ、海上は大しけ、海も山も大荒れの天気となります。特に1日で24hPa以上、つまり1時間にIhPa以上中心気圧の下がる低気圧を爆弾低気圧と呼んでいます。 

爆弾低気圧と呼ばれるほど発達する低気圧は、まっすぐ西から東へ進むことはなく、南西から北東へ切れ上がるように進みます。日本付近を通る爆弾低気圧の場合は、東シナ海から南岸を通ってオホーツク海まで進んだり、あるいは日本海を通る場合もあります。日本の南岸を通る場合、出発地点が台湾近海であることが多いので、昔はこのような低気圧を台湾坊主と呼んでいましたが、今では語感が悪いなどの理由から東シナ海低気圧と呼ばれています。 

爆弾低気圧になるかどうかはともかく、低気圧が猛烈に発達するのには原因があります。温帯低気圧のエネルギーは暖かい空気と冷たい空気が大きく混ざり合うことによって生まれますから、南北の温度差が著しい時ほど低気圧は発達しやすくなります。具体的な時期で言うと、初夏の陽気が広がると同時に、大陸の寒気もまだ南下しやすい5月頃は低気圧が発達しやすい時期です。 

勝手なネーミングですが、温帯低気圧には、北の冷たい空気が南に下りてきてできる寒気南下型の低気圧と、南から暖かく湿った空気が流れ込んでできる暖気湿気型の低気圧があります。秋はどちらかというと寒気南下型、春は暖気湿気型が多いのですが、5月頃はこの両方の要素を持った低気圧が現れやすく、猛烈に発達して大暴れし、春の嵐メイストームと呼ばれることがあります。 

このような時の温帯低気圧は、低気圧とは言っても台風並みの暴風を伴い、しかも台風よりも広い範囲に影響を及ぼすので、台風よりも危険です。

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-風と波をつかむ方法