都会ではちょっと難しいかも知れませんが、晴れた夜に空を見上げてください。星が見えたら、その星がどれくらい瞬いているかで翌日の風がわかります。星と私たちの目の問には、もちろん宇宙がありますが、もっと近く、私たちの目の前には厚い空気の層があります。
イメージ的には、洗面器の底にコインを置いて水を張った状態を想像してもらえばいいでしょう。コインはどのように見えるでしょうか。 もし洗面器の水が微動だにせず静まり返っていたら、多少の屈折はあるでしょうが、コインはじっと止まって見えるでしょう。では、水を少し揺らしてみましょう。コインも少し揺らいで見えるはずです。ではもっと激しく揺すってみましょう。こんどはコインが見えなくなったり2つに見えたりするはずです。
星も同じで、地球の大気がじっとしていれば星も静かに光っていますが、空気が乱れているとチカチカ瞬いて見えます。地上は無風でも上空に全く風が吹いていないということはまずありえないので、普通星は瞬いていますが、上空の風が強くなると一層激しく瞬いて見えます。こういうときは翌日風が強くなります。
その理由は2つあります。まず、上空の風が強いのは低気圧が発達する兆候です。もし低気圧が接近していれば翌日は風が強くなります。ただ低気圧が近づいている時はくもっていることが多いので、あまり星が見えません。
もう1つは、特に冬の場合ですが、上空の風が翌日地上に下りてくることが考えられることです。 夜は地上に近いほど空気が冷えて重くなり、どっしりと安定して居座ってしまいます。このため昼間地面の近くを吹いていた風は地上の冷たい空気に邪魔をされて吹き下りられなくなり、上空だけを吹くようになります。しかし翌日の昼間になると地面が暖まって、地上近くの空気も軽くなります。
やがて地上の空気が上空の空気よりも暖まると、大気の状態が不安定になって地上の空気は上昇してしまい、その後に上空の強い風が吹き下りてくるというわけです。 問題は、星の瞬きだけでは風が強くなることは予想できても、風向まではわからないという点です。できれば天気図などと照らし合わせながら判断した方がいいでしょう。