雲は風の吹き加減によってできるものですが、そうしてできた雲が風を生み出すことがあります。特に強い風を吹かせるのが、かなとこ雲とも呼ばれる積乱雲です。
積乱雲は、大気の状態が非常に不安定な時にできる雲で、強い上昇気流によって急激に発達します。あまり上昇気流が強いので、雲の中に雨粒ができても即座に降ってくることができず、雲の中を漂い続け、上昇気流が収まってきたところで一気に地上めがけて落下してきます。このため地上では大変激しい雨に見舞われます。
ところで、日本の上空には偏西風が吹いています。もし、偏西風が乾燥していると、どうなるでしょうか。 積乱雲の中には雨粒や氷の粒が充満しています。そこへ乾いた風が吹き込むと、雨粒や氷の粒が蒸発します。水蒸気が水になる時には熟を出しますが、反対に水が蒸発する時にはまわりの熱を奪い、冷やす効果があります。
このため上空に冷たい空気の固まりができます。冷たい空気は重たいので、上昇気流の勢いが衰えると、雨粒と一緒になって一気に地上に落下してきて強い下降気流が起きます。これは冷たい空気自身の重さもありますが、大きな雨粒がまわりの空気を引きずり下ろす効果も加わっています。やがて地上に激突した風は、八方に飛び散り突風となります。
この突風は強いものになると70%を超えることもあり、特に下降気流が空港を直撃すると、離着陸途中の飛行機が地面に叩きつけられることもあり、ダウンバーストと言って恐れられています。
地面に当たって突風となった風の一部は、今自分が後にしてきた積乱雲を追い越して前方に進みまloそこにはまだ上昇気流になる前の、雲に吸い込まれる風が吹いていて、両者がぶつかります。ここを突風前線などと言いますが、そうすると、垂たい突風が新しい空気を上に跳ね上げるようにして、新たな上昇気流が生み出されることになります。
積乱雲が近づいてくると、はじめは雲の方に向かって風が吹きますが、雲がかかり始める頃には急に風向きが正反対になり、いきなり強くなります。突風前線です。すぐに激しい両が降り出して風は常に変わり気味、ときには雷が鳴ったり竜が降ったりするかもしれません。海では積乱雲とカツオノエポシからは逃げるに限ります。