必ず吹く風-春の移動性高気圧は強風になる

風を吹かせるものというとまず低気圧を連想しますが、高気圧も軽視できません。冬のシベリア高気圧からは冷たい冬の季節風が吹き出し、沖縄にまで10m/s以上の北風を吹かせます。一方、夏の太平洋高気圧はコンスタントに南風を送り込んできます。そして、春や秋には移動性高気圧がやってきます。移動性高気圧は上空から下りてきた下降気流が地面に当たっている所で、高気圧の縁からは風が高気圧の外に向かって勢いよく吹き出しています。 

春の嵐

移動性高気圧が日本を通過するのは、春は3月から5月、秋は9月から11月が中心で、まさに春や秋の天気の特徴的な現象なのですが、春と秋で全く同じというわけではありません。それは、日射しの強さの違いです。 

春の移動性高気圧は、大陸の高気圧が南に垂れ下がった所が分離して東に進んでくるものが多く、元々は冷たい空気でできています。しかし、春の日射Lはかなり強いため、中国大陸の南部から日本へ進んでくる移動性高気圧は、強い日射によってどんどん膨らみ、勢力範囲が広がって大きくなります。このことを指して、春の移動性高気圧は太りやすいと言っています。 

移動性高気圧が太ると、高気圧の縁から外に吹き出す風に、移動性高気圧自身が膨らむ勢いが加わります。また、高気圧の後ろ側では次に進んでくる低気圧と高気圧の間隔が縮まって気圧の傾きが急になります。このため、移動性高気圧がEl本の東海上に進んで、日本にその縁がかかるようになると、それまでのポカポカ陽気から一転して強い南風が吹き始めます。 

この風は結構強くて、海上や海岸では10%を超えることも珍しくありません。当然波も高くなり、波高2mから2.5mぐらいになりますが、この波は風波で、しかも太平洋側では完全にオンショアになりますから、頭がつぶれたグシャグシャな波で、その上不親別で速く、あまり波乗りに適した波にはなりません。 

太る移動性高気圧による風はついつい見落としがちなのですが、肥満は毎日のチェックが大切です。天気図を見て移動性高気圧が大体北緯30度よりも北の太平洋上を進むような時は、その移動性高気圧の中心から見て西から北西側で、南から南西の風が強く吹く恐れありと考えていいでしょう。しかも、その先に低気圧でもあれば、これは完全に吹くと見て間違いありません。

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-風と波をつかむ方法