今では大抵の家庭にエアコンがあるので、使っていない人も多いことと思いますが、扇風機の風を思い出してみてください。最近の扇風機には風量が自然に変わるモードが設定されていますが、昔の扇風機はずっと同じペースで風を送り続けていて、すごく不自然な感じがしませんでしたか?
自然の風というのはあんな風に一定の強さでは吹いていません。地上には空気が充満しています。言わば渋滞中の高速道路のように空気の粒子がびっしりと詰まっているので、空気の一部が動いたとしても、まわりの空気はすぐには連動できず一拍置いてから動き出すので、空気の動きは玉突き状に伝わって行くことになります。このため風を1ヶ所で感じていると、短い間隔で吹いたり止んだりします。風が吹くことを「ブロー」、止むことを「ラル」と言い、このように風が変化することを風の息と言います。
風の息は、大気の状態が安定している時は小さく、不安定だと大きくなります。これは、大気の状態が不安定だと上昇気流や下降気流が起こって、上空の風が地表近くの風と入れ代わって下に降りてくるためです。地表近くでは地面や海面との摩擦によって風は弱められていますが、上空では摩擦の影響が少ないために地表より強い風が吹いています。
このため風が上下に波打つと、私たちには風の強弱として感じられます。また、上空と地表ではやはり摩擦の影響によって風向も少し違います。上空の風は地上の風と比べると少し時計回りに振れているのが普通なので、例えば南西の風が吹いていた所にブローが入ると、ブローが入っている間は風向が西南西や西に変わったりします。
ブローを見つけるにはまず空を見ます。大気の状態が不安定だと、よく稀のような積雲が出ています。この雲の風下側では風が時計回りに振れてブローが入ると思っていいでしょう。反対に雲の真下から風上側では風は落ち、風向も元に戻ります。
また、海面の様子からブローを見つけることもできます。ブローが入っている所は上空から風が吹き降りているので、その風が海面に当たってきざ波を起こしています。もし、海面がそれほど荒れていなくて割合平坦なら、海の色からブローを見つけることができるでしょう。ブローエリアの動きや広がりを見れば、ブローやラルの先読みができて、風の変化に振り回されずに済みます。