風は気圧の高い所から低い所-吹きます。これは、水が高い所から低い所へ流れるのと同じです。水は傾斜が急な所では勢いよく流れ、緩やかな所ではゆっくり流れますが、風も同じように、気圧の傾きが急ならば勢いよく吹き、蔵やかならば弱くなります。
天気図で気圧の傾きが急なのか境やかなのかを判断するには、等圧線の間隔を見ればわかります。等圧線の間隔が狭く密集している所は、短い距離で気圧の高低差が大きく、気圧の傾きが急になっています。したがって、こういう所では風は強く吹きます。
反対に等圧線の間隔が広がっている所では長い距離にわたって気圧の高低差が小さく、気圧の傾きは壌やかで風はあまり強くありません。
日本付近に限れば、天気図を見て緯度10度の間に等圧線が何本引かれているかを数え、それに3を掛けると海岸の風速(m/s)の目安になります。ただこの方法はかなり適当ですので、風が強くなりそうなときは予断は禁物、テレビか何かで必ず正確な予報をチェックするようにしましょう。
また、水は高い所から低い所へまっすぐ流れますから、川は高い所から低い所へ等高線を直角に横切るような流れになりますが、風の場合はコリオリの力や摩擦力の影響で等圧線に直角に吹くことができません。北半球では気圧の高い方を右、低い方を左に見ながら等圧線を斜めに横切って吹きます。風向と等圧線の作る角度は、陸上でおよそ30度、海上ではおよそ20度です。陸上と海上の角度の違いは、摩擦力の違いによるものです。
高気圧から吹き出す風か、低気圧に吹き込む風かによっても風向には少し違いがあります。高気圧から吹き出す風は比較的大きな角度で等圧線を横切り、特に高気圧が気圧の低い方に向かって舌のように伸びている所では直角に近くなります。一方、低気圧に吹き込む風は中心の等圧線が混み合った所に近づくにつれ、等圧線との角度は小さくなり、最後にはほとんど等圧線に沿って吹くようになります。
これは気圧の傾きと遠心力の向きが同じ方向か逆方向かによる違いなのですが、この違いのせいで高気圧は中心がはっきりせず、中心に近いほど気圧の傾きが緩やかになり、反対に低気圧は中心に近いほど気圧の傾きが急になります。このため高気圧では中心よりも周辺部、低気圧では中心に近いほど風が強く吹くことになります。