潮の満ち干きと風-潮が上げてくる時のオンショアは吹く

海の水は、ほぼ1日に2回満ち引きを繰り返します。満潮から干潮に向かって潮が引いて行く時を下げ潮、反対に干潮から満潮に向かう時を上げ潮と言いますが、オンショアと上げ潮が重なると風が強くなるということが言われています。 

自分自身あまり意識したことがなく、その上勉強不足のため、この現象をはっきり分析したレポートにお目にかかったことはないのですが、以前NHKで気象情報の解説をされていた元鹿児島地方気象台長の倉鴫厚さんに伺ったところ、少し暖味だが、確か『潮風』という現象があったように記憶しているということでした。 

上げ潮のときにオンショアが強くなる理由はいくつか考えられます。 
まず、風の向きと潮の向きがどちらも岸向きになるため、海水が岸に向かう速さの分だけ海面による摩擦抵抗が小さくなるということです。 また波の形と風の関係も重要です。オフショアの時は、風と上げ潮に乗って岸に打ち寄せる波が正面衝突するので、波は切り立った形になります。

一方オンショアの風は波を後押しするように吹くので、波の頭がつぶれてひしゃげた形になります。つまりオフショアの時は海面がギザギザになり、オンショアの時の海面はわりとなだらかになるので、やはりオンショアの時の方が海面の摩擦抵抗は小さくなると考えらW5P 最後に、上げ潮によって海面が上昇するということです。

海面が持ち上がると、上の空気はわずかですが圧迫されます。これが広い外洋なら問題はないのでしょうが、狭い湾に向かって風が吹き集まり、潮も集まるような場合には、湾内の空気が圧迫されて気圧が高くなり、押し出されるようにオンショアが強まる、ということも理屈の上では考えられます。これらは全て推論の域を出ないのですが、おそらく一番考えられるのは最初の風と潮の向きの一致でしょう。 

では、上げ潮のときにどれくらいオンショアが強くなるのかと言うと、これは風の具合、潮の具合、そして海岸や陸上の地形にもよるでしょうから、残念ながら一概には何とも言えません。 いずれにせよ、こうして考えると上げ潮とオンショアが重なった時に風が強まるのは間違いないようです。

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