よく風が強くなると電線がビューっと音をたてます。この現象は、風が電線をギターの弦のように揺らすために起こるものだと考えられていた時代もあったようですが、実はあの音は電線が鳴っているのではなくて、電線があることによって乱された風そのものが音をたてているのです。
空気や川がまっすぐ流れているところに障害物を置くと、流れがその障害物に当たって乱されます。このときに、流れの速さと障害物の大きさの関係によっては、流れの後方、つまり風なら風下、川なら川下に、渦巻きがきれいに行列を作ります。"カルマンの渦列''と言うのですが、こうして渦巻きが行列を作ることによって空気が振動し、その振動の周波数、1秒間に振動する回数が、ちょうど耳に音としてとらえられる範囲だと、私たちには電線の鳴る音として認識されるわけです。
少し難しい話になってしまいましたが、この音の高さは電線の太さと風速によって変わります。同じ太さの電線なら、風が強い方が高い音に聞こえ、同じ風速であれば電線が珊い方が高く聞こえます。 つまり、風速が電線の太さの何倍かを計算して、その結果が大きい数字なら高い音、小さい数字なら低い音になるわけです。
では、実際どれくらいの風で電線の鳴る普(正確には電線によって乱された風が振動する音)が聞こえるかというと、電線の太さにもよりますが、一般的にはおよそ10%ぐらいの風だと、ゴーッというような、わりと低い音で聞こえて、風が強まるとともに音は高くなります。ビューとかビューと口笛よりもかん高い音が聞こえるときは、瞬間的に35"%ぐらい、つまり台風並みの暴風が吹いているということになります。
ただし、風は強くなったり弱くなったりを繰り返していますから、ビューと鳴ったときが35%ぐらいとしても、その昔が全く聞こえなくなったときは10ワ盲も吹いていないということになるので、電線の鳴る音が耳障りなぐらいはっきりと間こえるときは、大体平均風速で15%ぐらいと考えておけばいいでしょう。 ちなみに、気象庁の風力階級によると、電線が鳴り始めるのは風力6、風速にして10. 8%から13. 8%ぐらいとなっていますから、電線が鳴ればプレーニングは保証されたようなものです。