夏と冬では風速が同じでも風の重さが違うと言われています。その理由は、まず空気が温度によって本当に重さが違うことが挙げられます。
地上の気圧はおよそIOOOhPaですが、気温が5℃の時の空気の重さはlmBにつき1. 27kgになりますo同じ空気が30℃まで熟せられると、気圧は同じでも膨張して体積が9%ほど増え、Irrfの空気の重さは1. 165kgと1009ほど軽くなります。
IOOgというと大したことないように思えますが、次のように考えるとずいぶん違うことがわかります。 例えば、ウインドサーフィンで風連5Ysの時に6. 5mのセイルを使っているとしましょう。単純に計算すると、このセイルには1秒間に6.5m x5m-32. 5m"分の空気の重さ、つまり圧力がかかることになります。もし気温が5℃ならその重さはおよそ41kg、30℃ならその重さはおよそ38kgで、気温が5℃の時と比べると3kgも軽いことになり、セイルが生む推進力は格段に弱まることになります。
この差を埋め合わせるにはセイルエリアを広げるしかありません。風速5ワ毛で気温が30℃の時に、気温が5℃の時と同じ1秒間に41k9の重さをセイルにかけるためには、 35. 2iriの空気をセイルで受け止める必要があり、セイ)i,エリアを7. 0m、つまりワンサイズ大きくしなければなりません。これが、夏はセイルをワンサイズ大きめに、と言われる理由です。
また、計算上は水蒸気の含有量によっても空気の重さは違ってきますが、もともと空気中に占める水蒸気の割合は微々たるもので、しかも海の上では夏でも冬でも極端に乾燥することはありませんから、無視しても差し支えない範囲の差しかありません。 もう1つの理由は、人間の感じ方の問題です。
人間の体温はおよそ37℃O一方、気温の方は日本では37℃を超えることはまれです。このため風が吹くと体から次々と熱が奪われます。人間の体は直接風の圧力を感じるほかに、熟が奪われることでも風を感じますので、気温が低ければ低いほど風に敏感になります。
このため、同じ風速でも体温を奪われる冬の方が風をオーバーに感じる傾向があります。しかし、夏は日射も強く、風が吹いてもあまり体温を奪われないために風に鈍感になります。そんなことも夏の風を軽いと感じる理由の1つとして考えられるでしょう。